RUNDECKとは?Rundeck 学習の最初のステップ
RUNECK(Rundeck が正式名称)とは、 インフラ運用・システム運用を自動化・可視化するための “運用オーケストレーションツール” です。
エンジニアや運用チームが、サーバーの定期作業・ジョブ実行・障害対応などを GUI + スクリプトで自動化 できる仕組みを提供します。
✅ 何ができる?(主な機能)
Rundeck は、運用現場で発生する定型作業を「安全・確実・再現性高く」実行できるようにする自動化プラットフォームです。
ジョブのスケジュール実行や手動実行、SSH/API を使ったサーバー操作、GUI からのワンクリック実行、権限管理(RBAC)、実行ログの集中管理、障害対応手順の標準化など、インフラ運用に必要な機能を一通り備えています。開発者・運用者・非エンジニアがそれぞれの権限範囲で作業を実行できるため、ヒューマンエラーの削減や運用効率の向上にも貢献します。
🔗 公式ドキュメント: https://docs.rundeck.com/docs/
1. 運用作業の自動化(ジョブ管理)
- Cron のようにスケジュール実行
- 手動実行も可能
- SSH や API を使ってサーバーにコマンドを実行
- シェルスクリプト・Python・Ansible と連携
2. Web 画面から操作可能(GUI)
エンジニアでなくても、ボタン1つで運用作業を実行できます。
3. 権限管理(RBAC)
- 誰が何を実行できるか細かく制御
- オペレーターとエンジニアの役割分割ができる
4. 実行ログを一元管理
どのサーバーで何を実行したか、履歴とログが自動で保存されます。
5. インシデント対応の標準化
事前に「対応手順をジョブ化」しておけば、 障害時にワンクリックで定型対応を実施可能。
✅ どんな場面で使われる?(例)
Rundeck は、毎日行う定例作業やバッチ処理、トラブル時の対応など、運用チームが普段行っている「決まった作業」を自動化するときに使われます。
たとえば、夜間に自動でデータ集計を実行したり、サーバーの再起動やキャッシュ削除をワンクリックで行えるようにしたり、非エンジニアでも安全にバックアップ作業だけを実行できるように権限を分けたりする場面で使われます。また、監視アラートが発生した際に、あらかじめ登録しておいた対応処理を自動で走らせることで、トラブル対応を効率化することも可能です。
つまり、Rundeck は「人が毎回手でやっていた面倒な作業」を、自動化・標準化してくれる便利な運用支援ツールです。
① バッチ運用の自動化
- データ集計バッチ
- 毎日の定期処理
- 複数サーバーへの一括デプロイ
② SRE・運用チームの効率化
- サーバー再起動
- キャッシュ削除
- ログ収集
- 監視アラートから自動実行
③ 権限を分けた安全な運用
例: 「非エンジニアが、Rundeck 上のボタンだけで DB バックアップを実行できる」
④ DevOps の自動化オーケストレーション
Ansible、Terraform、Jenkins、AWS などと連携可能。
✅ Rundeck を一言でまとめると?
運用チームが、「誰でも安全に」定型作業を実行できる ようにする自動化プラットフォーム。
AWS Systems Manager や Ansible Tower のような位置づけです。
🔎 似ているサービスとの比較
Rundeck は「運用自動化」に特化したツールですが、同じく自動化を扱う Jenkins や Ansible Tower、AWS Systems Manager とは目的と役割が少しずつ異なります。
Jenkins は主にアプリケーションのビルドやデプロイを行う CI/CD ツールで、開発工程を自動化する場面で使われます。一方、Ansible Tower はサーバー構成の自動化が中心で、インフラの初期設定や構成管理に強みがあります。AWS SSM は AWS 環境に限定される代わりに、パッチ適用やリモート実行が統合されたクラウド運用サービスです。
それに対して Rundeck は、障害対応・日次作業・バッチ処理といった「運用フェーズの定型作業」を安全に標準化することを目的としており、チーム内での役割分担や GUI での簡易操作が必要な場面に向いています。
| ツール | 用途 | 特徴 |
|---|---|---|
| Jenkins | CI/CD(開発寄り) | ビルド・テスト・デプロイ |
| Rundeck | 運用自動化(Ops) | 障害対応・バッチ・日次作業 |
| Ansible Tower | 構成管理 + 運用 | インフラ自動化に強い |
| AWS SSM | AWS 運用 | AWS に限定 |
✅ Rundeck 学習の最初のステップ(実務者向け・最短ルート)
① ざっくり仕組みを理解する(30分)
まずは「Rundeckは何を解決するツールか?」を把握します。
Rundeckとは? 運用自動化ツール。 ジョブを登録し、サーバー群(Nodes)に対して、コマンドやスクリプトを自動実行できる。 → つまり 運用の標準化・自動化 のためのツール。
見るべき場所:
- Getting Started(今開いている部分)
- Jobs(ジョブとは何か)
- Nodes(ターゲットとなるサーバー群)
② 実際に触る(ローカルorDockerで即構築)
学ぶ一番早い方法は 実際にジョブを作って動かすこと。
▼ 一番簡単な環境構築
# pull rundeck image from docker hub
docker pull rundeck/rundeck:5.17.0
# run docker image
docker run -p 4440:4440 rundeck/rundeck:5.17.0
実行するとログが流れて、起動完了すると:
→ ブラウザで http://localhost:4440 を開けばOK
→ admin / admin でログイン
🔑 ログイン情報(デフォルト)
username: admin
password: admin
ログを見る限り……
🎉 Rundeck、完全に起動 & ログイン成功してます!
ログ内容:
Started Application in 173s→ 起動成功login_success→ admin でログイン成功GET /→ トップページへのアクセス成功

👉 もう使える状態です!
✅ 次に何をすればいい?
初学者向けに「最初にやるべき3ステップ」を案内します。
① 新規プロジェクトを作る
左上メニュー → “Project” → “Create New Project”
- Project Name:
test-project - その他はデフォルトでOK
② ジョブを作る(Rundeckの基本単位)
左メニュー → Jobs → “Create a new job”
設定例👇
General
- Job Name:
hello-world
Workflow(1ステップだけ追加)
- Command →
echo "Hello, Rundeck!"


保存(Save)
③ ジョブを実行する
ジョブ画面 → Run Job(今すぐジョブを実行)
ログ画面に
Hello, Rundeck!
と出たら成功。

🌟 これで Rundeck の核心「Job」「Workflow」が理解できます。
③ Nodes(ノード)を理解する:実務で最重要
Rundeck では どのサーバーに ジョブを実行するかが重要。
Rundeck を本当に「使いこなす」ために最も重要なのが、Nodes(どのサーバーで実行するか)と Jobs(何を実行するか)の理解です。
Nodes はジョブの実行先となるサーバーやコンテナのリストで、Rundeck がどの環境に対して処理を行うかを決める役割を持っています。
一方 Jobs は実行する作業そのもので、1つの作業を「Workflow」という複数ステップの流れとして管理できます。
つまり、Nodes=実行対象、Jobs=実行内容という構造を理解しておくと、Rundeck が「対象を選び、決まった手順を自動実行する」仕組みが直感的に分かるようになります。
この2つの概念を押さえることが、運用自動化の設計を効率的に進める第一歩です。
Rundeck の仕組みはたった2つ:
- Nodes(どこで実行する?) → サーバー / コンテナ / EC2 インスタンスのこと
- Jobs(何を実行する?) → コマンドやスクリプトをまとめた「作業指示」
そして Job は Workflow として複数ステップをまとめられる。
つまり:
- Nodes = 実行対象
- Jobs = 実行内容
- Workflow = 手順の流れ
🔗 関連公式ドキュメント
- Nodes(実行ターゲット):https://docs.rundeck.com/docs/manual/projects/nodes/
- Jobs(ジョブ定義):https://docs.rundeck.com/docs/manual/jobs/
ノードの定義方法(SSH / WinRM / Kubernetes など)
Rundeck では、ジョブを実行する対象サーバーを「ノード」として登録します。
登録方法はいくつかあり、最も一般的なのは SSH で Linux サーバーを登録する方法です。Windows サーバーの場合は WinRM、クラウド環境やコンテナ基盤の場合は Kubernetes の API から自動でノード情報を取得することもできます。
ノード定義は YAML / JSON ファイルで手動記述することもでき、構成管理ツール(Ansible・Chef など)と連携して自動 取得させることも可能です。
ノード属性(tags / hostname など)
各ノードには「hostname」「username」「osFamily」「tags」などの属性を持たせることができ、Rundeck はこれらの属性を使って接続方法や実行権限を判断します。特に tags は重要で、「web」「db」「prod」「stg」など役割を表すキーワードを付けておくことで、どの種類のサーバーに実行するかを柔軟に指定できるようになります。属性は YAML 定義ファイルに書くほか、クラウド API から自動的に取り込むこともできます。
Node filter で対象を絞り込む方法
ジョブを実行するとき、Rundeck では “ノードフィルター” を使って実行対象のサーバーを絞り込みます。
たとえば「tag:web」だけに実行したり、「osFamily:linux」だけを対象にしたり、「hostname:prod-*」のようにパターンで選ぶこともできます。複数条件を組み合わせることもできるため、「本番環境の Web サーバーだけ」や「DB 以外のすべて」など、細かく実行対象をコントロールできます。
これにより安全で確実な運用が行えるのが Rundeck の大きなメリットです。
👉 まずは YAML の simple ノード定義から入るのが楽。
Rundeck では Node Source(リソースモデル)の形式として、以下の3種類が使えます:
| 形式 | 説明 |
| -- | |
| XML | <project><node ... /></project> 形式。最も公式の古典的フォーマット |
| YAML | resource-yaml-v13 形式。人気で見やすい |
| JSON | JSON 形式でも定義可能 |
Rundeck で扱うノード(実行対象サーバー)は、定義ファイルに以下のように定義できます。
| フィールド | 説明 | | | | | hostname | 接続先の IP / ホスト名。Rundeck が SSH する先。 | | username | SSH 接続に使うユーザー名。 | | description | ノードを説明する一言。GUI に表示される。 | | tags | Web / DB / prod / stg などの分類。フィルターで絞り込みに使う。 | | osFamily | linux / windows など。実行できるコマンドを判断する材料。 |
YAML
# nodes.yaml(最小例)
node1:
hostname: 192.168.1.10
username: ubuntu
description: "Web サーバー"
tags: ["web", "prod"]
osFamily: "linux"
node2:
hostname: 192.168.1.20
username: ubuntu
description: "DB サーバー"
tags: ["db", "prod"]
osFamily: "linux"
XML
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<project>
<node name="node00"
description="Linux Node 00"
tags="db"
hostname="192.168.56.20"
osFamily="unix"
username="vagrant"
ssh-key-storage-path="keys/rundeck"
/>
<node name="windows"
description="Windows Server"
tags="ad"
hostname="192.168.56.23"
osFamily="windows"
username="rundeckuser"
winrm-password-storage-path="keys/windows.password"
winrm-authtype="basic"
node-executor="WinRMPython"
file-copier="WinRMcpPython"
/>
</project>
✔ これだけで Rundeck は 2台の Linux サーバーを実行対象として認識 します。
✔ SSH で接続できる設定(鍵や権限)はサーバー側が前提になります。
🔗 公式ドキュメント(Node 定義):
https://docs.rundeck.com/docs/manual/05-nodes.html